これからの時代はプログラミングだと言われますので、公認会計士がプログラミングを学ぶとどんな可能性が開けるかについて考えてみたいと思います。ちなみに私も、公認会計士試験に合格し、大手監査法人に就職して監査実務を積んだあと、プログラミングを猛勉強したことで、自由な働き方を手に入れました。
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公認会計士+α の強みを身につける
公認会計士試験に合格しても、公認会計士試験に合格したこと以外の強みを見つけられず、監査法人で疲弊している人を見かけることがあります。公認会計士がIT・プログラミングを学ぶことは、会計監査業務を続けるにしても、それ以外を行うにしても役に立ちます。
会計監査業務で役に立つIT・プログラミングの知識
大量データの分析
会計監査業務においても、クライアントのIT技術の高度化によって、受領するデータのデータ量が増大しています。もらったデータの行が約100万行を超える場合、現時点ではEXCELで開くことができないので、それをAccessやSQLサーバーで開いて分析ができる人は重宝されます。これができる人はチームに何人かいました。
データベースへの接続・操作
また、通常はメールやファイルサーバーでやり取りしていたデータを、SQL等のデータベースごともらう場合があります。また、比較的若い企業では、重要なデータをAWSやAzureといったクラウドに保存しているケースがあり、監査人から一個ずつ要求される手間を嫌がり、データベースの全量データをコピーしてあげるからそれに対して好きなように操作して監査に必要なデータ取り出してほしいと要求されることがあります。クラウドのDBへの接続と操作は若干の知識が必要ですので、それらの知識があると重宝されます。
内部統制の監査手続き
ITシステムの理解は内部統制の監査手続きで大いに役立つというのは、監査法人の公認会計士なら誰もが同意するかと思います。クライアントの内部統制の多くがITシステムで処理されるなかで、インフラの知識は重宝されます。これは、実際にコードを書くというより、仕組みを理解するということです。サーバー、ネットワーク、セキュリティなどのキーワードはよく出てくるかと思います。
基本的にはシステム監査人が行って公認会計士が結果を利用するのですが、最終的に責任を追うのは公認会計士なので、システム監査人が行った監査手続きを公認会計士は理解できなければいけません。今までシステム監査人の監査結果をそのまま利用することが多かったですが、これからは公認会計士もそれをしっかり理解できるようにならなければならないというのがトップダウンで言われていて、ITを理解している公認会計士が昇進においても重宝されるというのは間違いないと思います。
金融工学的な分析ツールの構築
金融商品(デリバティブ、保険、融資等)の時価の計算などは、監査法人が独自に再計算する監査手続きがあるので、法人内の誰かが独自ツールかスクリプト等を開発していると思います。もし、数学的に特殊な計算が必要な商品の監査を担当しているのであれば、そちらのツール開発に参加することもできるでしょう。公認会計士でこれができる人は少ないので、できれば差別化になると思います。
その他
プログラミングは日常の小さなところで役に立つツールを作ることもできます。例えば、一定のルールに従ったフォルダを大量に作成するなどです。こういう地味な作業は、一度プログラムを作ってしまえば自動化できます。簡単で便利ですよね。
会計監査以外でプログラミングが役に立つケース
プログラミングの可能性は無限大です。機械学習、データ分析、Webシステム、スマートフォンアプリ、、、プログラミングができることは枚挙に暇がありません。
また、すでに公認会計士を持っていれば、その掛け算は更に多くのものがあります。
- 公認会計士 ✕ 機械学習
- 公認会計士 ✕ データ分析
- 公認会計士 ✕ Webサービス
希少価値はさらに上昇します。
転職時などでも、ITやプログラミングに詳しいことは評価されます。自分の価値を高めるために、多くの人がプログラミングを勉強しています。
プログラミングを始めるハードルはかつてないほど低い
プログラミングはいまや多くの人が習得しているスキルです。かつてのプログラミング学習は正直かなり困難でした。私も難しくて学生のときは挫折しかけました。
しかし、現在はプログラミングは簡単に習得できます。公認会計士試験の方が圧倒的に難しいです。理由はいくつかあります。
- プログラミング言語が進化しました。かつての言語より格段にわかりやすいです
- プログラミング人口が増え、初学者向けの本が多く出版されています
- 動画講座も多いです。先生の画面操作と全く同じにすれば大丈夫です
- プログラミング勉強コミュニティがたくさんあります。わからなくても質問できます
プログラミングの勉強方法
プログラミングの勉強方法は別記事で解説しています。私が独学時に実際に使った勉強方法で、これらで学んだ内容を面接でアピールし、無事にシステム開発の仕事に就くことができました。ご参考になれば幸いです。

参考:公認会計士 ✕ プログラミングでご活躍されている先生
公認会計士 ✕ プログラミングでは有名な先生がいらっしゃるので、恐れ多くもご紹介させていただきます。
会計士KO先生
四半期ごとに、隣の会計士がひたすら
「右クリック→フォルダを作成→名前を変更」
している中、
ワイはバッチファイル1秒で任意のフォルダ群を作成している。 pic.twitter.com/Ev5M2aGiYh
— 会計士KO@プログラミング中 (@CPAKO999) August 29, 2019
会計士KO先生は有益なツイートをされておられます。ブログの内容も密度が高く、必見です。
毛糸先生
今週末の #PyCPA では、参加者にもアウトプットの機会を持っていただくため、Lightning Talkの時間を取ります!#PyCPA での恥はかき捨てです。
気楽にやりましょう。みなさんの発表、楽しみにしております! pic.twitter.com/dqBU2BF4RR
— 毛糸 (@keito_oz) February 5, 2020
毛糸先生はPyCPAというPythonを学ぶ会を主催されております。公認会計士が多く参加しているので、参加すればプログラミングを勉強する公認会計士仲間ができるかと思います。