会計士試験の合格に必要な勉強時間はどれくらいでしょうか。
巷には3000時間とか4000時間とか、様々なことが言われていますが、真偽や内訳は不明なものばかりでした。そこで今回は私が合格する際に要した勉強時間を書きます。私は勉強時間をStudyplusという勉強時間管理アプリに記録していたため、正確な勉強時間がわかります。こちらを分析することで、公認会計士試験の受験勉強について、より正確な勉強時間のイメージを共有できればと思います。
Contents
どんな受験生だったか?
まずは私が会計士受験生としてどのような者だったか紹介します。受験前の状況と受験結果は以下の通りです。
- 私立大学ビジネス系学部の大学生
- 大学受験直後、2014年4月より会計士勉強をスタート
- 予備校は東京CPA会計学院
- 2015年12月に短答試験合格(初回受験、得点率76.6%)
- 2016年8月に論文試験合格(初回受験、総合順位461位※)
※ 2016年8月実施の論文式試験の合格者1,108人内での順位
次に会計士受験生として私がどのような勉強生活を送ったかを書きます。
また勉強時間と成績の分析もします。どの科目をどれくらいの時間で勉強してどれぐらいの成績だったのかを書きます。この勉強時間は私が受験時代に利用したStudyplusというアプリで記録していたものに基づいています。
参考)Studyplusの画面

合格までにどのような勉強をしたか?
私は学習期間2年半ほどで会計士試験の短答式・論文式試験に合格しました。どのような勉強生活を過ごしていたのかを具体的に書いていきます。
学習初期 ~ 短答式試験
2014年4月に大学に入学。「大学受験で身に着いた勉強の習慣をなくしてしまうのはもったいない!」そう思った私は興味のあった会計士の勉強をすぐに始めました。
まずは予備校選び
予備校選びは大学の生協が主催していた会計士予備校の説明会で決めました。大手3社(TAC、大原、CPA)が主催しており、それぞれの校舎の講師・チューターと話す機会がもらえます。
3社の中から私が東京CPA会計学院に決めたのは、次のような理由です。
- 合格率が高いため
- 自習室が自由に使えるため
- 質問へのフォロー体制が整っているため
- 今までの受験生時代で利用した予備校と近い雰囲気を感じたから。
予備校には”入り浸る”
予備校が決まり、校舎でのライブ講座が始まりました。まずは環境に慣れることが大事だと考え、予備校に”入り浸る”よう心がけました。というのは、バイトやサークル、勉強と様々なことをこなすことは不器用な自分にはできないと思っていたこと、また自習・独学では到底こなせないと思っていたためです。
幸いにも自習室は午前中の9時ごろから午後の21時ごろまで開放されていたので、できる限り自習室の滞在時間を延ばすようにしていきました。この時期はまだ勉強の”コツ”を掴めておらず、漫然と自習室にいるだけのことも多かったように思います。
「質より量」、人より多く勉強する
同じカリキュラムを受講している学生より多く勉強しました。予備校がその時期の受講生に想定する勉強時間よりは多かったと思います。”初めに波に乗ると後がラク”だと思っていたからです。
実際に最初何度かの答案練習(予備校での定期試験)では満点をとりランキング表にも載れて、予備校のチューターに褒められたのを今でも覚えています。
最初期は簿記と管理会計(計算)を勉強
この頃は、主に簿記(財務会計の計算科目)と原価計算(管理会計論の計算科目)を勉強していました。
Studyplusでの勉強時間の記録は2014年9月ごろから開始しました。会計士の勉強時間はおよそ4,000~5,000時間が目安と言われていたので、勉強時間がどんどん積み重なっていくのを楽しんでいました。
勉強仲間を作る
同じ年の合格目標で勉強している予備校の学生とも少しずつ話すようになりました。彼らとの情報交換はそれまで一人で勉強していた私にとっては新鮮で有意義でした。
というのは予備校の受講生は同じような悩みを抱えているからです。私の通う予備校には同じ大学生の人が多くいたため、大学のカリキュラムのことや勉強時間の増やし方などについて彼らを参考にしました。
ただし、仲良くなりすぎて勉強以外のことも話すようになり、勉強時間が少し減ったかもしれません。人付き合いは自分でバランスを取ることが必要だと思います。
短答直前期、学習にも変化が
学習2年目(2015年)になると、いよいよ会計士の一次試験である短答式試験が見えてきます。この頃から短答式試験の理論科目である監査論と企業法の授業も受け始めました。
財務会計論と管理会計論はこの頃から新しい論点を習うよりも一度習った論点の復習に時間を割くことが多くなっていきます。ここで、どの論点を復習するのにどれだけ時間がかかったかを記録しておくようにしました。教科書で同じくらいの分量の論点で、復習により多くの時間がかかるようであればそれが苦手なトピックだといえます。
また計算科目は単純に解くだけでなく、時間内に決まった問題数を解くようにしました。より本試験に近づけた勉強をするよう心がけていました。
大学ではできる限りこの時期に大学の授業をとらなくていいよう、大学のカリキュラムを工夫しました。ほぼ必修科目と語学の授業だけをとっていたはずです。
簿記検定で力試し
2015年の夏ごろには日商簿記検定一級を受けました。予備校が推奨していたためです。簿記は一年間かけて勉強していたこともあり、それなりに自信がありました。
しかし、結果は不合格。かなり凹みましたし、このままで大丈夫かという不安感も募りました。同カリキュラムをこなしていた人のなかには合格していた人もおり、焦りは強かったです。
そんな焦りもある中、8月からの夏休みは全て勉強に費やしました。朝9時から夜9時まで予備校の自習室にこもるようにしました。電車での移動時間も教科書を読んでいました。他の受講生も多くはそのようにしていたと思います。
追い込まれてからが勝負
試験数か月前になってくると答案練習の回数も増え、より試験に近い形式になってきます。全科目を実際の試験と同様に一斉に受験し、順位・成績を公表する模擬試験も何度か実施されます。
私は夏休みで相当勉強した自負がありましたが、結果は悲惨なものでした。なかでも財務会計の理論は振るわず、講師に「このままではマズいよ」と言われました。
そこで毎回の模試の度にどの問題を間違えたのが、なぜ間違えたのか、勉強の仕方で改善点はないかを考え、日々の学習に反映していきました。その結果、次のようなことを実践しました。
- 教科書を読む時間より、問題を解く時間を増やす
- わからない論点があってもまずは読み飛ばす
- より出題可能性の高い問題の正答率を上げる
勉強時間を細かく管理
幸いにも最後の模擬試験では合格圏内に入りましたが油断はできません。
それぞれの論点の復習にどれだけの時間がかかるかは誤差5~10分程度で把握できていたため、下記のような勉強計画表をつくりながら勉強していました。一つでも多く、自分の苦手分野をこなせるよう勉強しました。
参考:試験直前時の勉強計画表

※ 日ごとに各科目のどのトピックを何時間で勉強するかを記載しています。
上の勉強計画表は、成績に応じて科目間で勉強時間に傾斜をつけています。また自分の得意な科目・論点でも少しの時間で見直すよう計画を立てました。
いざ、短答本番
当日は緊張していたためか、気分が高揚していたためか、かなり早朝に起きました。電車で試験会場に向かうも、何度かお腹が痛くなりました。
試験が始まってからは無駄なことは考えないようにして、目の前の科目に集中するように心がけました。試験会場には同じ校舎の受講生もいましたが、一科目ずつの結果に一喜一憂したくなかったので、試験が終わった科目についてできるだけ話さないようにしました。
試験が終わったあとの飲み会は解放感でとても楽しかったです。深夜に少し酔いつつも予備校の解答速報をもとに採点をしました。各科目の成績は次の通りです。
企業法 | 70/100 |
---|---|
管理会計論 | 68/100 |
監査論 | 65/100 |
財務諸表論 | 180/200 ※1 |
合計 | 383/500 (76.6%) |
※1 簿記と財務諸表論は短答式試験上は、「財務会計論」として一つの科目で実施されます。
合格ボーダーは67%でした。結果的に苦手だった財務会計の理論では全問正解でした。
短答式の勉強時間と成績を分析
勉強時間と成績を分析するために、下の4つの図表を用意しました。
- 短答式試験成績
- 平均一日当たり勉強時間
- 科目別勉強時間割合
- 科目別月次勉強時間

①は短答式試験の得点率です。簿記と財務諸表論は試験上、財務会計論として一科目で実施されるのでまとめています。
②は短答式試験までの期間に毎日平均してどれだけ勉強したかがわかるように作成しました。この勉強時間には講座を受けていた時間やテキストを読んで復習していた時間、問題を解いていた時間などが含まれます。
③は短答式試験までにどの科目をどれくらいの割合で勉強したかがわかるよう作成しました。
④は②・③のグラフをつくるのに利用したものです。Studyplusのアカウントから直接時間数を集計しています。
勉強時間の推移
短答式試験の直前3~4カ月のころには、一日平均7~9時間・週平均50~60時間程度の勉強をしていました。また予備校の自習室には午前9時から午後9時までいました。東京CPA会計学院の国見先生の下記のツイートを見てもわかるように、その他の合格した受験生も同程度の勉強時間を確保していたように思います。
時期や、コースにもよります。
専念で直前期であれば50時間からが一つの目安かなと感じます。 #peing #質問箱 https://t.co/vpVdIrF4jH— 国見健介 (@cpakunimi) September 7, 2019
それではここからは各科目別の勉強時間と短答式試験での成績を分析してみます。
簿記 (得点率:80% 勉強時間:1,000時間程度)
会計士試験で重要なのは何と言っても財務会計論です。計算(簿記)と理論(財務諸表論)を合わせて50%に近い勉強時間が財務会計論に使われました。
その中でも簿記に費やされた時間は1,000時間以上・20カ月近くです※2。得点率÷勉強時間という視点で考えると、最も”コスパの悪い”科目と考えてもおかしくはありません。
しかし後述する通り、財務諸表論で満点をとれたのは簿記にこれだけの勉強時間を使えたからと言えます。簿記と財務諸表論は計算と理論という表裏の関係にあり、どちらかの成績が良いともう片方も成績が良くなるという相乗効果が狙えます。
財務諸表論 (得点率:100% 勉強時間:300時間程度)
財務諸表論はこの科目単体だけでみると最も”コスパが良い”とも言えます。しかしこれは前述のとおり、簿記の勉強時間があってこそのものです。
また財務諸表論は勉強時間こそ少なく済みましたが、最も勉強の仕方に苦心した科目です。成績がなかなか思うように上がらず、様々な勉強方法を試みました。例示として私が試みた勉強の仕方を書いてみます。
- 教科書主体のインプット重視から問題集主体のアウトプット重視の勉強への切り替え
- 出題可能性の高い問題を多くこなす
- それぞれの論点を人に言葉で説明できるか試してみる
いずれも参考にすぎず、受験生の状況や時期によって最適な勉強の仕方は変わってくるかと思います。大切なことはPDCAサイクルを多く回すことだと思います。
管理会計論 (得点率:68% 勉強時間:650時間程度)
財務会計論の次に大切な科目は管理会計論です。多くの勉強時間・勉強期間を管理会計論に費やしています。その一方で簿記に次いで”コスパ”は悪く、財務会計論・監査論・企業法と比べると最も悪かったと言えるでしょう。
管理会計論は勉強時間を費やせば確実に点数が上がるとも言えず、対策の難しい科目です。年によっては奇問・悪問と呼ばれる出題がなされる回もあります。
その一方で適切に対策をすれば強みとなる科目でもあります。私の周りでも本試験において周りが4~5割程度を取る中、管理会計は満点近い点数を取る受験生の方もいました。
監査論 (得点率:65% 勉強時間:380時間)
監査論は財務会計論と同様に勉強の仕方に苦労した科目です。というのは、監査論というのは、監査法人という会社が行っている財務諸表監査という仕事に関する問題であるからです。大学生の受験生であった私は、どうしても監査の実務を具体的にイメージできず理解も難しかった記憶があります。
この”監査の現場をイメージしづらい”という課題は、会計士受験生に共通のものかと思います。勉強の際に心がけたこととしては、監査論の用語をできるだけ簡単な日本語に置き換えて考えるよう意識していました。どうすれば監査の専門用語を会計を全く知らない人にでも説明できるかを考えながら勉強していました。こうすることで自分でもよりわかりやすくイメージができるようになったと思います。
また最近では監査法人が主催している監査実務のワークショップやインターンなどもあります。試験の内容が実務でどう用いられるのかを知る点でも、また将来の姿をイメージしモチベーションに繋げる点でもこれらのイベントに参加することは有意義かもしれません。
企業法 (得点率:70% 勉強時間:350時間)20
企業法の短答式試験は一般的にどれだけ暗記できたかが重要です。時間をかけた分だけ点数が上がりやすい科目で、なおかつ試験直前に時間をつぎ込めば高得点も狙える科目だと言われています。したがって、早めに勉強し始めると忘れてしまうため、学習の開始はある程度遅い時期となります。
一方で企業法はボリュームの多い科目であり、始めるのが遅すぎると回りきらない可能性があります。さらに後述しますが、論文式試験を見据えた際には企業法は徹底的に基礎を固めておくと良いでしょう。その点でも企業法の始め方は重要です。
ですので、企業法は学習初期に全体像を把握したうえで、直前期に猛勉強する戦略が良いように思います。私に関して言えば、企業法の学習を始めた際に、簿記や管理会計の復習もあり企業法の授業の復習がおろそかになっていたように反省しています。
短答式試験合格後 ~ 論文式試験
論文期は短答期よりも勉強が辛かったです。今にして思えば「12月の短答式試験で合格していれば、8月の論文式試験は余裕をもって合格できる」※ という驕りがあったと思います。
※ 会計士短答式試験は現在、5月と12月の年二回実施されており、論文式試験は年一回8月のみの実施です。一般に5月で短答式を合格された方よりも12月で合格された方のほうが準備期間が長いことから、12月合格者は受かりやすいと言われています。
短答と論文の試験形式の違いに苦しむ
短答式試験後は年末・お正月を満喫しました。年明けから論文式試験のための答案練習が始まりましたが、論文式試験の論述式に慣れていなかったことが大きいでしょう。
また短答式試験の成績が悪くはなかったために、論文式試験の答案練習でほとんど点数がとれないことに対して劣等感を抱きました。論文式の答案練習には12月の短答式試験を合格した人だけでなく、昨年の短答式試験を合格し、一度論文式試験を受験した経験者の方も合流します。彼/彼女たちとの成績の差に耐え切れないところがありました。
そのように理想と現実のギャップに苛まれたためか、体調を崩してしまい、2~3月に全く勉強ができなくなった時期がありました。周りで一緒に12月短答式試験を合格した受験生がなんとか成績を上げていく中、勉強ができない自分に危機感を覚えました。
楽しい経営学、苦しい租税法
4月になり、なんとか勉強を再開させました。幸いにも論文式試験で試験科目として新たに追加される経営学は大学で習う内容と近いこともあり、学ぶことが楽しかったです。
それに比べて、租税法は周囲の受験生に大きくビハインドをとってしまったこともあり試練でした。高得点を取ることはあきらめて、合格に必要な点数を確実にとれるような勉強をしていました。
なんとか最後の模擬試験だけギリギリ合格圏内の成績をとれました。
葛藤しつつも論文式に向けて
2016年8月、当時大学3年の夏休みだった私には次のような葛藤がありました。
会計士試験は合格までに数年かかる長丁場な試験です。大学生の受験生に限らず、社会人受験生やその他の受験生も多かれ少なかれこのようなプレッシャーを感じつつ試験日を迎えるはずです。
プレッシャーの対処方法は人それぞれで一概にこうすべきと言うことは言いにくいです。しかし余計な情報はできる限り目につかない・耳に入らないようにすることはプレッシャーを経験してくれます。予備校の受講生にはスマホをロッカーにしまったり、家に置いてくる人もいました。私もできる限りSNSを見ないように心がけていました。
いざ、論文式試験へ
本番は3日間に及ぶ長丁場です。しかし全てを出し切るつもりで答案を書き上げました。当日の感触を○、△、×で併記します。
1日目
監査論 (△)
試験を受けているときの感触は「良くはないが、悪くもない」でした。いまいち何が聞かれているのかはわからない出題だなと思いました。「部分点でいいから点数をください」という思いで答案を書きました。
租税法 (×)
試験問題を解いている段階から手応えはありません。想定通り解けません。心のどこかで「自分の対策していた問題が出れば、、!」という思いはありましたが、そもそも対策を完全にはできていなかったので諦めもつきやすいです。落としてはいけないところを何度も確認しました。
また私が受験した年は答案回収に1時間近い時間を要し、次の科目の準備ができず大きく焦った記憶があります。
やっとのことで初日の試験が終わりました。会場から帰る途中で予備校の知人に「租税法のどこどこの問題、簡単だったよね~」と話しかけられたのを覚えています。それに私がどう応えたかは覚えていません。
2日目
1日目の疲れと緊張のせいか体調が優れず、頭痛がしました。風邪薬を飲んでから試験会場に向かいました。
会計学(午前):管理会計論 (○)
奇問・悪問が出題されることもあるとされる管理会計。そのように思って準備していたことが良かったのか、それほどおかしいと思う出題はないように感じました。
会計学(午後):財務会計論(△)
いよいよ醍醐味である財務会計論です。理論の出題で今までで見たことがないような問題が出題されました。「受験生のみんなができない、みんなができない、もし僕ができれば儲けもの」と言いきかせて、二日目も全力を絞りつくしました。
3日目
企業法 (×)
何を問われているのかさっぱりわかりませんでした。とりあえず思いついたことを答案が埋まるように書いていきます。書いていることが設問の意図と全くズレている可能性も感じました。試験時間の最後のほうは、得意科目の経営学でいかに挽回するかを考えていたかもしれません。
選択科目:経営学 (○)
いよいよ最終科目である経営学です。すべてを出し切る勢いで受験しました。どうしてもわからない問題がいくつかありました。すべての問題を解き終わった時点で、試験時間自体は余っていました。もう少しで開放されるという気持ちをどうにか抑えつつ、まだとれる点数はないか探しました。
論文式試験から合格発表までは適度に就活
論文式試験後は他の受験生同様、監査法人やコンサルなど適度に就職活動をしながら、適度に遊びました。しかし、心のどこかで「論文式はダメだったので、また来年も勉強か」という気持ちがあり、いまいち身が入りきらなかったように思います。合格への自信は試験日から日が経つにつれて薄くなっていきました。
そして、論文合格
合格発表当日。
完全に受かる見込みがないと思ってしまっていました。朝9時半からの成績発表は金融庁に貼りだされるのとインターネット開示の2つがあります。自信のなかった私は、自宅にてパジャマでパソコンを開き、受験番号があることを確認して震えました。急いでスーツに着替え、各種連絡と合格祝賀会に向かいました。嬉しさで全身が痺れる震えを感じたのはあの時が初めてです。
後日送られてきた試験結果は下記のようなものでした。

※ 論文式試験の合格ボーダーは総合でおよそ偏差値52をとることと言われています。
少しの手応えはありましたが、経営学の二桁順位には自分でも驚きました。会計学の成績が良いことも支えとなりました。
一方で租税法の成績は思っていた以上に低かったです。企業法も良くはない成績でした。
僕の論文式試験までの勉強生活はこのようなものでした。
それでは最後に肝心な勉強時間と成績の分析を行いましょう。
論文式の勉強時間と成績を分析
短答式試験の分析と同様の4つの図表を用意しました。

勉強時間の推移
短答式試験後は勉強時間が減りました。2月ごろまで一日平均5時間程度までしか勉強時間を増やせていません。
短答式試験後は租税法と経営学が増え、さらに各科目について論文用の勉強が必要となります。理想論を言えば、短答式試験後も変わらず同程度の勉強時間を確保すべきでしょう。しかしそこはヒトなので試験が終われば気も緩むこともあると思います。
私の失敗からお伝えできることがあるとすれば、「短答式試験後も継続する」ということでしょう。私は短答式結果が思っていたより良かったことや12月に短答式に合格すれば論文は確実に受かるはずだと期待しすぎていました。あくまで謙虚に学び続ける姿勢が大事だと反省しています。
また4月以降、論文直前期にも一日平均で3~6時間程度の勉強時間となりました。結果的に合格できたのでは喜ばしいことです。しかし、この時期にもっと勉強していれば合格発表時までに不安定な時期を過ごさずに済んだのかと思うと後悔があります。
会計学
手応え:○~△ 結果:◎
会計学は経営学の次に成績が良かった科目です。総合成績に占めるウエイトも大きく、短答に続き会計学が良かったことで救われました。
また短答式試験後は簿記を20時間程度しか勉強していません。簿記を最初にじっくりと時間と期間をかけて勉強していたことが功を奏しました。予備校のカリキュラムに感謝です。
反省すべき点はやはり財務会計の理論の勉強でしょう。こちらも短答式と同様に勉強のコツを掴むまでに苦労しました。
監査論
手応え:△ 結果:〇
監査論は手応えよりは結果が良かったです。問題がわからないなりに自分の言葉で書けることを書いたので、何とか点数をもらえたのでしょう。
勉強時間としても、短答式試験後は100時間程度でした。土台は短答式試験の勉強にあったと思います。企業法も同様ですが、理論科目はできるだけ暗記に走らず、学習初期の理解を心がけると後の伸びが良い気がします。
企業法
手応え:× 結果:△
手応えほどは悪くなかったですが、偏差値52は越えなかったため、それほど出来の良い科目ではありませんでした。
勉強時間としても、論文期だけで160時間を費やしています。その割に偏差値は伸びませんでした。
ここは学習初期の企業法の理解が足りなかったためでしょう。学習を始めた時期に十分な勉強時間を企業法に使うことができず、基礎的な理解が弱いままでした。短答式試験の勉強にしろ、論文式試験の勉強にしろここの土台が弱かったことが最後まで響きました。
経営学
手応え:〇 結果:◎
経営学は論文後に勉強を始め、160時間で偏差値63.5を取りました。最もコスパの良かった科目です。
経営学の成績が良かった理由はいくつかあると思います。
- 大学がビジネス系の学部だったため、学習済みのこともあったから
- 予備校の教材が”当たった”から
- 大学でコンサルや経営者の方の話を聞く機会がありイメージがしやすかったから
- 単純に経営学が好きだったから
租税法
手応え:× 結果:×
租税法は最も苦戦した科目となりました。短答式試験後に230時間と最も勉強時間を費やした科目でありながら、成績は最も悪いという結果になりました。
最も反省すべき点は、周りの受験生からビハインドをとってしまったことでしょう。租税法が苦手だったとしても、学習初期で後れを取らなければもう少し良い成績に終わったと思います。
全部でどれだけ勉強したか?
最後に勉強開始~論文式合格までの勉強時間を分析してみます。
まず、Studyplusで記録した会計士試験の勉強時間は全体で次の通りです。2014年4月~8月の勉強時間はStudyplusで測定していなかったことを考慮すると、トータルでの勉強時間は4,000時間程度です。

短答式試験直前が最も勉強した期間でした。しかしこの期間にこれだけの勉強時間がとれたのは大学生であり夏休みがあったこと、それまでに長時間の勉強の習慣を少しずつ身に着けていったためだと思います。一長一短で一日9時間の勉強は僕にはできませんでした。
また全体を通して、予備校には”入り浸る”ようにはしていましたが、Studyplusの勉強時間は”本当に頭を使って勉強している時間”だけを測定するように心がけったため、正味の勉強時間はそれほど多くありません。(朝9時から夜9時まで集中して勉強すれば、一日12時間程度は勉強時間が確保できたはずです)
また参考までに2014年10月~2016年8月までの累計勉強時間を科目別に集計した図表も作成しました。学習量の増加が感覚的に把握してもらえるかと思います。
バーの進み方でどの時期に猛勉強していたかがわかります。やはり短答式の前がもっとも勢いよく勉強していました。本来であれば、コンスタントにコツコツと勉強できるのがより良かったと思います。
会計士試験は長丁場
ここまでで私がどんな受験生だったか、どのような勉強をしてきたか、どれくらい勉強したかを書いてきました。受験生の皆様はそれぞれ置かれた環境が異なるため、全ての方が私と同じように勉強すれば受かるとは残念ながら到底言えません。逆にもっと短期間・短時間で合格される方もいるかと思います。あくまで会計士試験合格者のひとつのサンプルとしてお役に立てれば幸いです。
また当サイトでは5月短答式試験に合格後、8月の論文式試験に合格した人の経験談も掲載しています。併せてご覧ください。

最後になりますが、会計士試験は長丁場な試験です。私は論文式試験までに2年半を要しました。人によってはさらにかかる人もいるかと思います。また修了考査もあります。私は途中で体調を崩し勉強をできない期間もありました。ですので、受験生の皆様におかれましては、健康を大事に、継続して学習されることをお勧めします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。応援しています。
今後もIT会計キャリアをどうぞよろしくお願いいたします。