IT

プロの思考パターン:二つのアプローチ

プロフェッショナルの特徴の一つにその領域に特有のパターンの思考回路で知的生産を行うということがあります。医師・法律家・会計士から教育者やデザイナー、そしてITエンジニアに至るまで、その業界特有の思考パターンがあります。

しかし、さまざまなプロに共通する思考パターンがある気がしています。それは「物事をつくることで理解する」というアプローチと「物事をこわすことで理解する」というアプローチです。前者は構成論アプローチ、後者は分析論アプローチとも呼ばれます。今回はITと会計を例にとって構成と分析の思考法についてお話しします。

ITにおける構成と分析

ITにおける構成アプローチはPythonFlutterRustなどのプログラミングからOffice製品を利用した図表の作成までさまざまなレベルで多様なもののつくり方があります。どの本屋にも「いかにしてITで何かをつくるか」という書籍がたくさんあります。

一方でリバースエンジニアリングという考えもあります。これは優れた製品やソフトウェアを買ってきて、全てバラしその構成要素を徹底的に分析するアプローチです。広く製造業に使われる手法で、それはソフトウェアの制作でも同じでしょう。日本の自動車産業に圧倒的な地位があった時代には、「まず日本製の新車を買うのは米自動車会社であり、それは徹底的に壊すためだ」という話もあったそうです。

会計における構成と分析

会計をビジネスで駆使する人のほとんどは財務諸表をあらゆる手段で分析します。デュポン・チャートというROEを分解して経営課題を見つけ、改善するという手法は会計人の中ではあまりに有名です。その他多様な分析フレームワークがあります。そして基本的に分析の基本思想は「わければわかる」というものです。

その一方で忘れてはいけないのが、会計を構成するという考え方です。会計士・税理士の講座で、最初から完成した財務諸表を与えられ、「分析しなさい」という手法は実はあまり取られません。初はどんなにシンプルでも自分で財務諸表を仕訳を書いてつくってみるという教え方をします。そこから財務諸表というものをだんだんと理解した後に、さらの理解を深めるために今度は分解・分析してみるのです。この簡単なものをつくってみるという考えはどの役職・階層の会計人でも忘れたくない考えです。

最後に

今回の記事では物事の考え方として、構成と分析というアプローチをご紹介しました。両者に優劣はなく、二つのアプローチがあることを知っていることが重要です。「押してダメなら引いてみろ」とはよく言ったものですが、「つくってダメなら壊してみろ」「壊すのがダメならつくってみろ」という手もありかもしれません。