会計

会計人の質問テクニック(基礎編)

会計を仕事にしている人は誰でも質問を上手にできる必要があります。

監査人であれば、クライアントの担当者に自分の科目や会社の状況をヒアリングします。それは日々の会話から正式な場を設けてまで様々です。質問の機会を与えられたなら、それを活かしきらない手はありませんビジネスマンの時間には全てお金が動くからです。

また監査人に限らず、会社の経営場面で会計に携る人も質問の技術を高めることは有益です。経理であれば現場の人たちの声を適切に理解し、上司に詳しい処理について聞き、監査人に会計処理について相談・交渉する必要があります。どれも相手と自分の間には持っている情報に違いがあることから適切に質問し、必要とする知識・回答を引き出す視点が求められるのです。

① 顧客志向の言葉遣いをしよう

まず、会計人が質問に限らず心がけるべきことに「言葉遣い」があります。意識して相手が使っている言葉で話しましょう

会社担当者が販管費を「営業費用」と口にするなら監査人もそう言うべきです。現場の作業員が自分たちの製品や商品を特殊な略称で呼ぶなら経営管理に携わる人もその言葉を使うでしょう。

これは会計人が取り組める最も簡単な顧客主義です。会計人はバックオフィスとして現場の従業員にサービスを提供していますが、やもすると顧客志向を忘れがちです。とても小さなことですが、意識して継続することで気づかないうちに信頼を生むはずです。

② 5WHで事実確認をする

会計はそのコンセプトとして「事実を一定のしかたで記録・計算・整理して、結果を明確に記帳する」という考えがあります。そのためにはまずは事実を正確に確認する必要があります。そして事実確認の時に即座に使えて最もシンプルな質問は5W1Hです。「今年から給与をあげました」という事実に対して、「いつのことですか(何月何日)」、「誰の給与ですか(経営者・管理者・従業員・アルバイト)」「給与の区分はどこですか(販管費・原価)」「給与をあげたのは何故ですか(人材確保・業績良好)」「それはどうやって支給されますか」。また5W1Hをできる限り数字・固有名詞で押さえておくことも有効でしょう。

これはものすごく簡単なケースですが、一つの事実を聞いた時にそれに関連して周辺に他にも聞ける5W1Hが存在しないかという視点は大事です。

③ フレームワークをつくって質問する

単純に事実を聞き出すだけでなく、会計人としての腕の見せ所になるのがこの③のテクニックです。例えば次のようなことを聞いたとしましょう。

「弊社では、働き方改革として残業時間の削減に取り組んでいます。」

ここで人件費を担当しているあなたは即座に次のような簡単なフレームワークをつくって質問をすることができます。

人件費(残業代) 時間単価 残業時間
販管費(本社) A B
原価(現場) C D

時間単価は即座に変わることは考えにくいので軽く確認するか時間がなければ聞かなくていいでしょう。残業時間は本社と現場で改革の程度が異なることが考えられるため質問することが必要でしょう。

上のフレームワークは例によってものすごく簡単なものです。しかし、会計人であれば知らず知らずのうちに様々なカテゴリーを身につけています。「連結/単体」「海外/国内」「財務/管理/税務」「ストック/フロー」「資産/負債/純資産」といった会計フレームワークだけでなく、MBAのテキストに載っているような経営学のフレームワークを利用することも有用でしょう。このようなフレームワークを即座に頭に思い浮かべられれば、そこから相手が気づいていなかった論点を指摘することも可能となるでしょう。これこそが会計人の質問力の本髄ではないでしょうか。

今回は単純なケースで質問のテクニックを3つ紹介してみました。このテクニックだけでなく様々な会計人が様々なテクニックを用いていると思います。「あの人の聞き出し方、うまいなぁ」と思ったら何がすごいのかを研究し、どんどん真似てみましょう!